Sunday, July 13, 2008

The Green Conference in NYC 6/10/2008

グリーン・コンファレンスって何?


グリーン・コンファレンスというイベントに行った。

米広告専門紙の大手、アドバタイジング・エイジの主催で、プロのマー
ケッターを対象としたレクチャー・イベントがあると知り興味をもった。
昨今、新聞やテレビなどでは、エコロジーが取り上げられない日はな
いくらいにエコへの社会的関心が高まっている。私たちがいるファッ
ション業界でも、エコ・ファッションやエコ・バッグ無くしてはトレンドを語
れないような状況だ。しかし。実際に私自身、地球環境問題について
どれだけのことを知っているかと省みると、恥ずかしながら全くといっ
ていいほどの無知ぶりだ。“地球温暖化”という問題がかねてから持ち
上がっていて、このままの状態が続くと大変なことになるらしい。また
省エネに勤め、資源の無駄使いを少なくし、リサイクルにも協力し、地
球に優しいオーガニック農産物を奨励し、天然成分の化粧品を使用す
るなどという身近なエコというのは、なんとなくわかる。しかしそれが
マーケティングとか広告ビジネスといったエコとは対極にあるように感
じるものとエコロジーがどのように結びつくのだろうか?というとことに
素朴な疑問を感じた。広告やマーケティング業界の第一線のプロたち
は環境問題をどう彼らの領域に取り入れている、つまりビジネスとして
成り立たせているのかが知りたくて、この第2回グリーン・コンファレン
スに参加した。

会場はNYダウンタウンのニューヨーク大学内ホール。
参加講師の顔ぶれはCI(Conservation International/環境保護団体)のCEO、マクドナルドのCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)、パタゴニアのクリエイティブ・ディレクター、Federal Trade Commission’s Bureau of Consumer Protectionのディレクター、大手広告エージェンシーやTVネットワーク社長など。
またアドエイジが選んだ今年のベスト・エコ・ブランドである、エンタプラ
イズ・レンタカー、ファアモント・ホテル・チェーン、グリーン・マウンテン・
コーヒー各社のPR&マーケティング担当VPなどによるパネル・ディス
カッションも行われた。
各人のプレゼンテーションは約20分間。ステージに設置された大型ス
クリーンに映しだされるパワーポイントやビデオなどを併用してビジュ
アルに訴えかけるように工夫されていて分かりやすかった。

しかし。。。レクチャーやディスカッションの中でしきりと連発される、
「カーボン・フットプリント」とか「カーボン・オフセット」とかいう用語すら
何のことだかよくわからない私は、不勉強ぶりを嘆くヒマもなく、内容を
ゲスしながらノートをとっていった。いわく、京都議定書に一旦調印しな
がらも後に離脱したアメリカという国家(環境保護を公約に当選した
ブッシュ大統領が後にその意を翻し、地球温暖化をとなえ異端視され
ていたアル・ゴア氏がノーベル平和賞を受賞しメインストリームに)において
すら、今や、物やサービスを売るのに企業姿勢が非常に大きな消費者
の関心事になっているという事実。マクドナルドやスターバックス、ディ
ズニー、ウオルマートなど世界の大企業がまず取り組んでいるのは、
企業のイメージをいかに「クリーン&グリーン」であるかをシェアホル
ダーや一般消費者に向けてPRすることのようだ。それを実証するため
に大企業は多額の資金を投入して、CIなどの専門家団体とパートナー
シップを結び、環境保護への貢献をアピールしイメージアップを図って
いる。消費大国アメリカのライフスタイルやビジネスは急には変えるこ
とは不可能だが、生活活動において排出してしまった二酸化炭素量
(カーボン・フットプリント)をお金に換算して、環境保全事業や代替エ
ネルギー開発に寄付することで償うというシステム(カーボン・オフセッ
ト)はいかにも合理的で、世界単位の話だと道徳や精神論よりもよほ
ど分かりやすいのだと思う。また後始末的な対策である、カーボン・オ
フセットだけに頼らず、カーボン・フットプリントを未然に削減する企業
努力(啓蒙活動、省エネやパッケージ削減、フットプリントの商品への
表示など)も重要な課題だ。今回の参加者(エコ・マーケティングでの
いわゆる“勝ち組企業”の代表者が口を揃えて力説していたことに、
「グリーン・マーケティングには巨額な資金と企業努力が必要だ。目先
の利益のために中途半端に取り組むのならば絶対止めた方がいい。
しかしもし、やりとおすことができれば、最終的には企業に大きな利益
をもたらす」ということだ。初めから大きな目標を掲げずにまずはできる
ことから始めるというのがいいようだ。ちなみに今回のグリーン・コン
ファレンスの参加費($375)には、コンファレンス開催にまつわる、カー
ボン・フットプリントをオフセットする代金も含まれているそうだ。

http://mediakit.adage.com/events/2007/aa_GreenConference07/aa_GreenConference07.htm