Thursday, December 24, 2009

今月のお気に入り(12/2009-3)

HOLIDAY GOODIES 手作りクッキー 今年のホリデーシーズンにはクッキーを焼いては、パーティの手土産やギフトにした。6回も焼くと慣れてきて、今度はドライフルーツやナッツを刻んで加えて、とかココアやコーヒー味にしたらどうか?などど色々試してみたくなる。以下は一番シンプルで美味しいクッキーのレシピ。

用意するもの

無塩バター 1本

      砂糖 1/2カップ

      卵 大1個

      塩 小さじ1/4

      バニラエッセンス 小さじ1

レモン・ピール(細かく刻んだもの)小さじ1

レモン汁 小さじ1

小麦粉 2カップ

ベーキングパウダー 小さじ1


1、室温で柔らかくしたバターに砂糖を入れてよく練り、そこに溶き卵、塩、レモンの皮と汁、塩、バニラエッセンスをいれてさらに混ぜる。(コーヒー味にしたい場合は、この時点でレモンのかわりにインスタントコーヒー小さじ5杯をミルク大さじ1で練ったものを加える。ココアはもっと多く入れてもいいかも)
2、あらかじめ小麦粉をベーキングパウダーを入れ泡だて器で良く混ぜたもの(ふるいにかけなくてもコレでOK)を、生地に少しずつ混ぜていく。
3、最後は粉気がなくなるまで手でまとめた生地を冷蔵庫で1時間(最低でも30分)寝かし、ローラーで5~6mmの厚さに伸ばす。
4、好みの抜き型をつかって形をつくる。まわりの余った生地は再度丸めて伸ばしてつかう。
5、 アルミ箔を敷いた天板に少し間隔をあけて並べ、あらかじめ15分くらい暖めておいた(350F/華氏)オーブン・トースターで10分焼く。いい香りがしてきたら焼けている証拠。
6、焼きあがったクッキーは、ラックかお皿にすぐ移して、あら熱をとる。
ペイント缶風の容器やホリデー柄の缶に入れて仕上げたギフト・ラッピング。これは真っ赤なドライクランベリーを上に乗せて焼いたクッキー(甘酸っぱくて美味しい)
4~5枚を金色のラッピング・ティシューにくるみ、リボンとオーナメントで飾ったものは、ミニカードを添えてご近所へ配りました。

Friday, December 18, 2009

今月のお気に入り(12/2009-2)

FRASER WREATH 余った枝で簡単リース
モミの木のツリーを買うと下のほうの枝を切り落としてツリーが立てやすくしてくれる。この枝が結構たくさん余った。 「この枝でリースとかつくるといいよ」と店の人に言われたことを思い出した。
早速ネットでどんな作り方があるかを調べてみる(最近は何でもこれで大体調べがつくので本当に便利)曰く”オアシスのリース土台を用意”だの”ワイヤーハンガーを丸くして2本重ねて土台にする”だのと土台を使う方法が簡単だという。しかしツリーの店で売っていたリースは土台など使っておらず、枝だけでかたどっていた。私もぜひともここは枝のみで勝負のリースに挑戦したいところだ。そこで再度その店に行ってそこの人に聞いたところ、「枝を丸めて丈夫な針金でとめるのがいい」という。なるほどそうかと思い、MICHAEL'S(家の近くにできたクラフト用品専門店で最近なにかと通いつめている)で22ゲージの極太フローラルワイヤーを一巻き(100g)を買い求め家路へ。以下が自己流ですが結構うまくできたリース(直径45cm)の作り方です。

<用意するもの>
モミの木の枝(ツリーから切り落としたもの)
枝を切る花バサミ
フローラル・ワイヤー(造花用の緑色の針金22ゲージ)
ワイヤーを切るペンチ
飾り用の松ぼっくり(14個)
モミの木の枝は一晩バケツの水にさして水を吸わせておく。このくらいの量で十分足りました。
枝が手でしなるくらいの太さがいいので、太すぎる枝はカットし、大体40cmくらいに切りそろえる。
針金(フローラル・ワイヤー)をつかって、作りたいサイズの輪にざっとまとめて土台をつくる。この段階がけっこう大変。あとで形はいくらでも整うので、この時点では完璧なシェイプでなくて大丈夫。
あとは15~20cmくらいの長さにカットした葉をたくさん用意して、ボリュームの足りないところに針金で巻きつけていく(2~3本一緒にとめてもOK)
仕上げは、全体のバランスをみながら針金をカバーするように、カットした葉を今度は1本づつ一方向(時計回り)にとめつけていく。
最後に待つぼっくりを葉の流れにそって針金で留めつけて出来上がり!上部にワイヤーを渡してドアにかける(なるべくこれが見えないように裏につけるときれい)乾燥すると葉がぽろぽろ落ちてくるので時々霧吹きで水気をおぎなってやると長持ちする。

Wednesday, December 16, 2009

今月のお気に入り(12/2009)

HUGE& TINY ツリーが家にやってきた♪

今年もロックフェラーセンターのクリスマス・ツリーに明かりが灯り、ホリデーシーズン真っ最中のNY。この大ツリー、高さが76フィート(約23m)のノルウエー・トウヒ(モミの木の一種)がコネチカット州イーストンから切り出されNYCまで運ばれてきた。毎年このクリスマスツリーに選ばれる木の持ち主は大変な栄誉なのだそうだ。なんといっても世界一有名なクリスマスツリーですからね。
ツリーの装飾には3万個のマルチカラーLEDライト(発光ダイオード)とスワロフスキークリスタルでできた星型ツリートップが使用されている。LEDライトはNY市の省エネ対策として2007年から登用された。一日の使用電量は2213 kW.で以前に比べ1297kW(日本の一般家庭の消費電力の7か月分)が毎日節電されていることになる。この電力は屋上での太陽発電でまかなっているという。NY流グリーン・クリスマスということなんですね。見事なクリスマスツリーを見ていたら我が家にも今年はひとつクリスマスツリーを飾ってみたい!と思い立ち、ツリープロジェクト開始とあいなりました。
まずはツリーを入手。NY市内では11月末のサンクスギビングデー翌日から街角のそこかしこにツリー特設売場ができます。我が家の目の前のセントラルパークにも大きなツリー売場ができました。
さて、どのツリーを買うかですが、ツリー初心者の私にとっては全く未知の世界。インターネットでツリーの買い方をリサーチし、部屋のどこに置けるかを考えて、高さは5フィート(1.5mくらい)と決める。そして12月6日いざツリー・ショッピング敢行。ツリー売場の人に希望の高さをいうと、モミの木でも種類がいくつかあるという。Fraser Fir(フレイザー・ファー)は一番人気があり、枝に適度な間隔があり上を向いて生えていてデコレーションがしやすい。また葉も落ちにくい。Douglas Fir(ダグラス・ファー)は葉が短めでやわらかく、密に生えているので形がいいが、葉が落ちやすい。Balsam Fir(バルサム・ファー)はその香りの良さで人気があるが、枝がしなるので重いオーナメントには向かないという。それぞれ特徴があるわけですね。プライスは高さ(4~8フィート)や木の種類によって$40~120くらい。プラスチック製のツリースタンドも売っていてサイズ小が$15(4’~5’用)中$20(6’~7’用)そして大$25(8’以上)。
Fraser Fir(North Carolina 産):表が青みがかった緑、裏が銀色がかった緑の葉は長さ約2.5cm。固めでしっかりした枝が重めのオーナメントもがっちりと支える。(5フィートで$55)
Douglas Fir(Pennsylvania産): 葉が短めで柔らかく色味もきれいだが、やや葉が落ちやすい(6フィートで$70)

Balsam Fir(カナダのNova Scotia産): 香りの良さがウリ。ダークグリーンの葉は落ちにくいが枝がやや弱い(5フィート$45)
結局、たっぷりした円錐形が気に入ったFraser(5フィート/$55)を購入。木を筒に通して、持ち帰りに便利なようにネットをかけた後で、幹の土台を3cmくらいのこぎりで切って水を吸い上げやすくする(Fresh Cutという)この際、ツリーをまっすぐに安定して立てる為に、切り口が極力水平になるようにすることも大事。土台に近い枝はトリムして落とし形を整える。
ネットをかけて持ちやすくしたツリーを家まで運んでいるところ。
あらかじめ用意しておいたツリー・スタンド(組み立て式$12.99)にツリーを立てたところ。下にウール・ブランケットを敷いて、床を保護する。赤い深皿に幹を入れて3箇所の万力で固定させる。幹が少し細めだったので周りに新聞紙を重ねたものを副える。またフレッシュカットが水平でなかったので、そ底に折りたたんだTシャツ生地を差し込んで安定(テーブルの足を安定させる要領)させる。この過程が思いのほか大変だが、ここは手が抜けない。
ツリーがセットできたらデコレーションに取り掛かる。イメージとしては60年代のレトロ・クリスマス・ツリー。昔ながらの色つきライト(C7というもの。もう一回り大きなものでC9 というのもある。それぞれ長さが7cmと9cmだからそう呼ばれているのだろうか?)をネットで見つけた。ついでにツリーのサイズに合わせてライトの必要数の早見表まであって便利だ。4フィートでC7が 50個が必要とある。ライト・セットに電球25個ついているので、2セットを買うことにした。ネットでオーダーするよりも実物を見て買いたいと思っていたら、近くのハードウエア・ストアで15%のクリスマス・セール中だったのでこれを2箱購入($11.99x2-15%+TAX)それとツリースタンドも一緒に買った。
もうひとつのオーナメントはローカル&ナチュラルにセントラルパークで拾い集めた松ぼっくり。パーク内西85丁目にアーサー・ロス・パイン園というあらゆる松を集めたセクションがある。天気の良い日に入ってみると、大小さまざまな松ぼっくりがゴロゴロ転がっている。あっという間にエコバッグひとつが一杯になるほど集まった。ただ難点は粘りのある松脂で手がべとべとになることだ(石鹸とお湯で洗ってもなかなか取れない)パークで自然の松ぼっくりのなりかたをよく観察しておいて、ツリーには手ぐすをつかってくくりつけた。大きめのものは土台を囲むように飾ってみた。
飾りつけが完了したところ。費用はしめて$98.28。ロックフェラーの大ツリーの約15分の1のサイズ。ライトの数600分の1(そして省エネLEDでもない)というミニ・ツリーですが、その仕上がりには大満足。幹が受け皿の水をどんどん吸い上げてしまうので、2日に一度は水を足してます。香りも強すぎずいい感じで気に入っています。実はこの後トリムした枝でクリスマス・リースをつくったのですが、その件はまた次回で。

Wednesday, November 4, 2009

今月のお気に入り(11/2009)

ENGLISH COPPER KETTLES 笛吹き薬缶


秋も深まる11月。
セントラルパークの紅葉も今が見ごろです。
暖かい飲み物がちょっと嬉しい今日この頃。 毎朝のコーヒーや、週末の午後のお茶に欠かせないのが、この英国製の薬缶(ヤカン)。
バーミンガムで1903年から手作りの薬缶を作り続けてきたNewey&Bloomer ltd. 社のSIMPLEXというブランド。クラシックなデザインが気に入って引越しのときに買い求めたのですが、流石はお茶文化の国イギリス製、良く出来てます。素材は熱伝導に優れたコッパー(銅)の表面に丈夫なクロム・メッキを施してあり錆びずに手入れも簡単。オリジナルはもちろん銅製でそちらもなかなか素敵ですが。もち手にはブナ材がつかわれていて手にしっくりとなじむ感じ。何より一番気に入っているのは、お湯の注ぎ口の仕様で、魚の口のような形をしていて、お湯がゆっくりと適量出ます。わが家ではコーヒーをドリップで入れているのでこのお湯の出かたがぴったりなんですね。ふたに笛がついていて、お湯が沸くと優しいいい音がします。でも結構大きい音なので、いつも走っていって火を止めるのでそんなに長くは聞いているわけにはいきませんが。。。
http://www.simplexkettles.co.uk/


ハロウイーンに遊びにきた姪たちのために用意した、クッキーとミニカップケーキ。大ヒットでした。

Friday, October 23, 2009

今月のお気に入り(10/2009)

MAGICAL SMALL CUBE 炭のチカラ
コレなーんだ?
約5cmの黒い立方体に蜂の巣状の孔がずらりと並んでいるコレは、実は竹炭を原料にした天然消臭剤なんです。試しにシューズ・クローゼットの中に入れてその効果を実験してみた。1足や2足では気にならないが、さすがに一箇所に30足近くの靴を収納するとかなり匂うものだ。ところが、このキューブ消臭剤をいれて2~3日もすると、まったく匂いが気にならなくなった。小さくても頼りになるこのキューブくん。1ヶ月に一度くらい天日に当ててあげると効果が長持ちするそうだ。
http://www.chikunolife.com/






Saturday, September 19, 2009

今月のお気に入り(9/2009)

EAST MEETS WEST 温故知新のココロ

実はこのプリント柄、どれも200年も前のものなんです。
京都西陣の蔵に眠っていた帯柄をつかってつくったポーチやファブリック・アートは、ソーホーにあるデザイン・ショップ、メグ・コーエンが、京都のSEISUKE88とのコラボでつくったオリジナル商品。200年前にある意味アバンギャルドだったこれらのグラフィック・デザインが、NYモダンのフィルターを通すとこんなに素敵によみがえる。ポーチは$22。2型あってどちらもパスポートが入る大きさ。世界中を旅する人たちにぜひ愛用してもらいたい。(ファブリックアートは展示品)



今月のお気に入り(8/2009)

SHOPPING BAGGU ホールフーズとエコバッグ

突然ですが、8月末に長年慣れ親しんだSOHOからアッパーウエストサイドに引越しました。
なんと引っ越したその日に。家から2ブロックのところにホールフーズマーケットが開店するという幸運に恵まれた私たち。(というか、たまたま偶然その近くに引っ越したということなんですけどね)
早速引っ越しがひと段落したらお買い物に。さすが開店日とあって活気がありました。釜焼きのピザとスープを買ってイート・インの席で遅めのランチタイム。これから毎日のようにお世話になりそうです。

そしてお買い物に必ずもっていくのがエコバッグ。どうせなら気に入ったものを持ちたいとずっとさがしていたところ、NYギフトショーでイメージぴったりのものが見つかりました。BAGGUというブランドのものでブルックリンに住むハーフ・ジャパニーズの女の子がデザインしています。BAGをわざとBAGGU(バッグ)と日本語のようにつづったブランド名です。お気に入りのマリメッコの傘とカラー・コーディネートもぱっちり。いつもバッグの中に入れてもちあるいています。





Wednesday, July 22, 2009

今月のお気に入り(7/2009)

AT UNION SQ. グリーン・マーケット


NY夏の風物詩ともいえる、グリーンマーケット。

特に14丁目のユニオンスクエアのマーケットはたくさんの店がでて活気があります。ローカルフードといって、地元で取れた新鮮な食材を食べよう、という気運がNYで高まっていて、ローカルフードの宝庫であるこのグリーンマーケットも大人気。

私はこのマーケットでは、野菜や果物のほかハーブの苗を買ったりします。季節の花々も農園から直送され、値段も手ごろ。見ているだけでもなんだか幸せな気分になりませんか。
普段の買い物には折りたたみ式のエコバッグを愛用しているけれど、グリーン・マーケットには「お買い物籠」的なバスケットをもっていきたくなります。ソーホーのメグ・コーエンの店でみつけたさまざまなバスケットはそんな気分にぴったり。なんでもメグさん自身、ニュージャージーの自宅のそばにグリーン・マーケットをつくってしまったのだそう。さあ、どのバスケットをもって買い物にいく?


Sunday, June 14, 2009

今月のお気に入り(6/2009)

SAFE DANGER フィリップ・ジョンソン”安全なキケン”

6月のある週末にコネチカット州ニューカナンにある故フィリップ・ジョンソン邸、グラス・ハウスを訪ねた。グラス・ハウスは外から中が丸見えのガラス・ケースのような家でこんなところに住むこととが出来たジョンソンはなんというナルシスト?と思っていたが聞くとここはこの敷地内にいくつもあるビルのひとつでゲストハウスとしてつかわれていたという。このグラス・ハウスの向かいには一対のようにレンガの箱のような建物があり、こちらにジョンソンが住んでいたそうだ。ゲストをショーケースのようなグラスハウスに寝泊りさせて自分は向かいの密閉されたような家でその様子をうかがうなんてジョンソンならではのジョークだ。広大な敷地の中には、書斎、絵画館、彫刻館などが散在している。その間を移動する道すがら小川を渡る木の橋がある。渡ってみると結構揺れる。実はこの橋、ジョンソンが設計する際にわざと大きく揺れるようにつくったのだという。本当はもっと揺れる橋をつくりたかったのだが、顧問のエンジニアにそれ以上はキケンだから駄目と許可がおりなったそうだ。田舎の古橋を恐々渡る時のワクワクするスリルをジョンソンはこの橋に求めたのだろう。そんな少年のいたずら心がこのジョンソン邸のいたるところに仕組まれている。ちょっとキケンだからこそ楽しい、でも根底には安全の保障がある。こういう遊び心をジョンソンは、”SAFE DANGER"といってこよなく愛した。

絵画館の中。巨大なローラデックスのような展示装置には秘蔵の現代名画がぎっしり詰まっている。


彫刻館。ガラス張りの温室のフレームの日光の影を映して刻々と変わるパターンを作り出す。

Sunday, May 24, 2009

今月の発見(5/2008)

元祖セレブお気に入り 
あのマリーアントワネットが熱狂したアヴァンギャルド・ミュージックとは?

今シーズン最後のコンサートが5月26日にジャズ・アット・リンカーンセンターで行われる。
今回の演目は、グルックのオペラ「アルチェステ」だ。
グルックという作曲家は1714年にドイツで生まれ、オーストリアの女帝マリア・テレジアのおめがねにかなって宮廷楽長の地位を得た。1756年にはローマ教皇からナイトの称号まで授けられたというから、その抜きん出た音楽の才能はもとより、かなりの野心家でもあったのではないかと思う。
ウイーンでは、1761年にバレエ「ドンファン」を、翌62年には代表作オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」を発表。そして67年にはそれまでに彼が提唱してきた、”オペラ改革”(歌手の技巧よりも音楽の流れや」ストーリーを重視した)の集大成として「アルチェステ」が世に送り出されている。この時点でグルックは、王家の後ろ盾をもつ、地位も名誉もあるスーパースターだったといえる。
ハプスブルグ家のお抱え音楽教師でもあったグルックは、1773年皇女マリー・アントワネットのフランス王家へのお輿入れの際に一緒にパリへと移住している。華やかなことの好きな若きマリーアントワネットは、グルックという音楽界のスーパー・スターを付き従えて、さぞやご満悦だったのではないだろうか?王妃マリー・アントワネットの熱い支援で、大々的にパリの音楽界にデビューを果たしたグルックではあったが、その革新的なオペラ形式は、今で言うアバンギャルド音楽であったようで、賛否両論が巻き起こったようだ。「アルチェステ」はこの時期に元のイタリア語からフランス語に書き換えられ現在ではフランス語で演奏されることが普通だ。

250年前の元祖セレブのようなマリー・アントワネットがグルックの指揮で実際に観たであろうアヴァンギャルド・オペラ「アルチェステ」を時代がめぐって、私たちが現代のNYの最新のホール、ジャズ・アット・リンカーンセンターで演奏できることが一寸嬉しい。歴史が移り変わり人々の考え方も変わっているので、当時とは音楽の解釈もかなり違っているかもしれない。それでも私たちの心に感動をもたらすのは、グルックの音楽が真のクラシック(時を経ても変わらぬ良さがあるもの)だからであろう。
ちなみにグルックは1787年ウイーンで亡くなっている。熱心な後援者であり、かわいい教え子であったマリー・アントワネットがフランス革命で断頭台におくられたのは、それから2年後のことだ。

PS: 今回の主役アルチェスタを演じるソプラノはMETオペラの大スターDeborah Voigt(デボラ・ヴォイト)。昨日と今日リハーサルでご一緒させていただいたが、とっても気さくで、かつエレガントな方(矛盾するようだけれど本当)2004年に肥満を理由に役を降ろされるという憂き目にあい、その後手術で減量に大成功、という話はきいていたが、実際にお会いした印象は少しフクヨカかなという程度かな。それよりも痩せても全く衰えないその声量には圧倒された。世界のヴォイトを至近距離で鑑賞できる私たちコーラスは最高の贅沢を味わわせていただいている。

後日談: 

コンサート直前になって、実はヴォイトさんはインフルエンザのなおりかけで体調が万全ではないというアナウンスメントがあって、皆ビックリ。主役の上に出ずっぱりで歌うため、私たちコーラスは背後で結構ハラハラしながら見守っていたが、やはり途中でソロの高音の部分(一番の聞かせどころなのだが)を一オクターブ下げてなんとか凌ぐという、最悪の事態が起こってしまった。やはりというか、翌日のNYタイムス紙には、(病み上がりというハンディは認めながらも)そのあたりが厳しく指摘されてしまっていた。掲載写真には、演奏中のヴォイトさんの背後でコーラスメンバーのしかめ面(本当は彼女を心配しているた為なのだが)がしっかりと捕らえられ、ますます気まずい感じ。私個人としては、ヴォイトさんが体調不良を押してでも出演してくれたことを感謝したいし、たとえ多少手を抜いたとしてもそれは仕方がないと思う。逆にがんばりすぎて、かけがえのない声にダメージを与えては、それこそ取り返しのつかないことになる。まあ、こんなことも時には起こるということだ。



週末の小旅行でのスナップ ・フォト
グランドセントラル駅からハドソン河に沿って北上する列車にのって、テリータウンにいった。
これは列車がグランドセントラル駅を発車する直前に車窓から撮った一枚。
ノーマン・ロックウエル風の男性像が壁面に描かれていて、それを金網で保護してある。(前の席のおじさんの背後霊ではないのでご安心を)誰かこの壁画の由来を知らないかな~。何だか一寸気になる。

テリータウンには、ストーンバーンズという農場の中のレストランがあって、そこに行くのが今回の目的だった。敷地内にはアーティストが古い農具を組み合わせて作ったスカルプチャーが自然の中に愉快に溶け込んでいる。5月晴れを期待していたのに雨模様でゆっくり散策できなかったのが残念。
農場で取れたばかりの卵のコロッケ。これが食べたくてわざわざ遠くまでいったようなものだ。
半分に切ると半熟の黄身がトロリと出てくるのをソースのように新鮮な野菜サラダに絡ませて食べる。卵好きの私には堪えられない!