Tuesday, April 29, 2008

SPRING HARMO-NY

桜、あんみつ、コンサート



ニューヨークの桜の満開時期は4月末くらいで日本よりすこし遅い。
ワタクシの住むソーホー界隈でも毎年見事に桜が咲く。
満開時期を少し過ぎると桜吹雪が雨風に舞う。
舞った花びらのつくる”吹き寄せ”も愛らしい。
手毬のようにたわわに咲いた桜の花。
見つめている心まで丸くなるようだ。

先日ミッドタウン55丁目のレストラン「鬼が島」に行った。
食事も良かったが特筆したいのがデザートの”あんみつ”。
寒天そのものが美味しく硬さも丁度いい。赤エンドウ豆も合格。
具は練乳がけイチゴと杏と白玉だけ。黒蜜もすっきりした甘さ。
贅沢をいえばアイスクリームの抹茶がいささかくどかったかも。
ここはシンプルにバニラ・アイスの上に抹茶の粉パラリくらいがいい。
こういう甘味関係もNYではあまり充実していないので一寸感激。
甘いものも気持ちをまぁるくしてくれる。

そして、スプリング・コンサート。
4月28日リンカーンセンターAvery Fisher Hallコンサートが終わった。
今回の演目はヘンデルの隠れた名作オペラ。
JUPITER IN ARGOS(GIOVE IN ARGO)はオンブラ・マイ・フで有名なオペラSerseが作曲された数年後の1739年の作品で、つい最近まで発見されず演奏もされなかったそうだ。我々Collegiate Choraleの今回の演奏はこの作品はUSプレミアということになる。誰も聞いたことがないオペラにしては、聞き覚えのあるようなメロディがそこかしこにでてくるのは、それはそれバロック時代の作曲家による同じメロディーのリサイクル習慣のため?オンブラ・マイ・フのアレンジ版みたいな曲もでてくる。
作曲家ヘンデルはご存知、大バッハ、テレマンと並んで、後期バロック御三家のひとりだが、ドイツからイギリスに帰化して大活躍している。そこでこれは勝手な空想だが、後の19世紀イギリスでギルバート&サリバンがつくった有名なオペレッタ、”ミカド"の中に、”スリー・リトル・メイズ・フロム・スクール”という3人の女の子達が歌うお茶目な曲があり、これが今回のヘンデルのオペラの中の1曲にどこかにている。こちらはソプラノとアルトが3人ずつの6重唱だ。イギリスにわたったドイツ人作曲家のヘンデルがずっと後に出てくる後輩のギルバート&サリバン(特に作曲のサリバン)に与えた影響…などと考えただけで何だか楽しくなる。
オペラのストーリーは、羊飼いに身をやつした好色な神様(ジュピター)が2人の美しいお姫様を相手に恋の駆け引きを演じ、敵討ちや生きるの死ぬのと大騒ぎののち、フィナーレは大団円で終わるというたわいのない喜劇ものだが、うららかな春にはこういったバロック・オペラが気分だ。ソリストは、Heidi Grant Murphyや、Elizabeth FutralなどMETオペラなどで活躍中のスターが出演した。我々バックコーラス陣はそれをリハーサルから本番まで同じ舞台の上で聞くことができる。これはこれでかなりの贅沢だが、いちおう演奏にも参加しなけらばならないのでのんびり楽しんでばかりもいられない。前日は夜11時までドレスリハーサルがあり当日3時間近くに及ぶコンサート中もかなりの集中力が必要。音楽もまた基本は体力ですね。
桜、あんみつ、コンサート。五感をまろやかに包みこんでくれる春のハーモニー満喫のNYでした。

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