Tuesday, November 30, 2010

今月のお気に入り(11/2010)

THE KING'S SPEECH 11/26封切りのおすすめ映画



世の中はケイト&ウイリアムのロイヤルウエディングで話題沸騰、英国ブーム再来の気配ですね。そこで、今回はイギリス王室での実話を元に、11月26日アメリカで封切りされたばかりの映画「ザ・キングス・スピーチ」をご紹介しましょう。

この映画は、ウイリアム王子の曽祖父、つまりエリザベス女王の父であった、故英国王ジョージ6世のお話です。このジョージ6世が吃音(どもり。英語ではStammering)に苦しんでいたという意外な事実からスタートします。王室御用達の名医たちがあらゆる手立てを講じても効果が上がらず、夫を気遣う王妃が藁にもすがる思いで、あるスピーチ・セラピストを”お忍び”で訪ねるのです。

「私の夫は(仕事柄)、人前でスピーチをすることが多いので困っているのです」という王妃。
「それならば、職業を替えるしかないですねえ」とあまり気乗りしないセラピスト。
「もし夫(の職業)が国王だったらどうしたらいいんです?」と切り返す王妃。

スピーチが苦手な王様。これは悲劇ですよね。でもそれを克服していく過程がイギリスらしいユーモアを交えて興味深く描かれています。下手すると薄っぺらな王室ゴシップでおわってしまいそうな話がここまで見ごたえのある映画に仕上がっているのはさすがです。
封切り当日にこの映画を見に行ったシアターで、たまたまトム・フーパー監督を迎えてのインタビューが上映後行われたのは嬉しいハプニングでした。ジョージ6世のコリン・ファースは、吃音をつづけたために撮影終了時には右半身が麻痺してしまうほど厳しい役つくりをしていたこと。撮影9週間前にセラピストのライオネル・ローグによる当時の診察記録が発見され、それが大いに役立ったことなどのエピソードを披露してくれました。
私が個人的に興味があったのは、ジョージ6世が国王にならざるを得なかった経緯でした。何につけても華やかで王になるべくして生まれ育った兄David(エドワード8世、後にウインザー公)、その影のような存在の弟Bertie(アルバート、ジョージ6世)。世間的には美談として語られているウインザー公の「王冠をかけた世紀の恋」の影に、そのツケをまわされたジョージ6世の苦難の人生というのもあったのですよねえ。(実際、王が56歳で早死にした原因は元はといえばこの兄の勝手な行動にあるとして王妃は死ぬまでウインザー公をうらんでいたということ)この映画の中ではあからさまではないにしても、ウインザー公がちょっと悪物っぽく描かれています(ガイ・ピアースがうまく演じています)

日本では2011年春に公開になるとのこと。お楽しみに。

「キングズ・スピーチ」のウエッブサイト
http://kingsspeech.com/about.html

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